歓喜の歌を奏でて 第11話
それからの2週間、2人は仲睦まじい時間を過ごした。大きくなったトゥーラの腹部は人の妊婦と何ら変わらず、もう少しすれば子供の胎動さえ感じられることだろう。マノエルは時に人となり、また時に鳥へと戻りながら、愛の証を宿した彼…
それからの2週間、2人は仲睦まじい時間を過ごした。大きくなったトゥーラの腹部は人の妊婦と何ら変わらず、もう少しすれば子供の胎動さえ感じられることだろう。マノエルは時に人となり、また時に鳥へと戻りながら、愛の証を宿した彼…
「――ルカス、敵だ!」 「何だって!?」 その時、住処に響いた第一声は恐怖の叫びだった。顔を上げたルカスが敵の黒い影を空に認めた瞬間、相手は群れの中央を切り裂いて急襲をかけてきたのだ。 「逃げろ!」 あちらこちらで緑…
群れの中で最も速く飛べるマノエルよりも敵は速い。そんな相手の攻撃を躱し、その上で急所を突かねばならない。姿を変えれば元の身体よりも反応が鈍くなる以上、このまま鷲と対峙して勝ってこの場を去らせることでしか彼が生き延びる術…
帰ってこなかったマノエルをトゥーラは当然心配していた。川までは人の足でさえ10分もかからず着けるのだから、空をも飛べる彼が戻らないのは明らかにおかしなことだ。何度も戸口に立ち、彼が歩いて行った方角を見つめたが、愛しい男…
それから更に7日の時が過ぎ、マノエルは通常の生活ができるほどまでに回復した。野に生きる者の生命力は人間たちのそれとは違い、自分自身を癒す力が比べ物にならないほど強い。彼が人の姿になってトゥーラの身を抱きしめてくれる度、…