荒野の恋人たち【完】

荒野の恋人たち 第26話

 その声も、眸の色も、間違いなくレオンの知っているシャンティ・メイフィールドのものだ。だが彼女は砂のついたストローハットを載せてもいなければ、陽射しに対抗するための革のジャケットを羽織ってもいない。栗色の髪の上には小さな…

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荒野の恋人たち 第27話

 幌馬車隊1の踊り手だった母仕込みの娘の腕は、こちらもまた相手を1段引き上げる名手の男をして、何の苦もなくダンスの時間を楽しませてくれるものだった。彼女の鳶色の眸にはレオンだけが映し出されていて、それが彼の魂の深いところ…

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荒野の恋人たち 第28話

 簡素な寝衣に着替え、化粧も落としてしまったシャンティは、鏡台の前で髪を梳かしながら物思いに耽っていた。レオンと別れてからは既に半刻ほど時間が経っていて、窓から見える外の通りも今ではすっかり静かなものだ。彼とダンスホール…

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荒野の恋人たち 第29話

「おはようございます、ミスター・ブラッドリー。クライヴも」 「よう、お姫さん」 「遅えよ、シャンティ。ゴードンとテッドはもう牛の世話をしに下に行っちまったぞ」  中庭に面したサロンは朝日の光を受けて心地良く、シャンティは…

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荒野の恋人たち 第30話

“おい……一体何度目だ? 集中しろ、レオンさんよ”  牛の集団の向こう側、美しい雌馬の乗り手を見やる男は自身に毒づく。このあたりは先住民が使う通り道の痕跡があり、もしここで襲われでもすれば家畜への損害は免れない。手持ちの…

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