荒野の恋人たち 第41話
周りに知られないよう夜中に独りで涙を流すことは、アラステアが本性を見せ始めた時から既に慣れている。シャンティの頭からはレオンの言葉と冷たい目が離れず、拭えども拭えども頬を伝う雫はいつまでも尽きない。ここまで彼に疎まれて…
周りに知られないよう夜中に独りで涙を流すことは、アラステアが本性を見せ始めた時から既に慣れている。シャンティの頭からはレオンの言葉と冷たい目が離れず、拭えども拭えども頬を伝う雫はいつまでも尽きない。ここまで彼に疎まれて…
「……!」 傾いだその身を受け止めるのがあと少しでも遅かったなら、シャンティの身体に残るような怪我は免れなかっただろう。大柄な馬体に似合わぬ俊足が自慢のマースローには、長年のパートナーであるレオンとて感謝してもしきれな…
アレンカードへ連なる大地からフォートヴィルを擁するものへ、その河はそれを境に南北2つの地方を分けている。ここを過ぎれば目的地までは残りひと月を切るにしても、そこが噂に違わぬ黄金郷である保証はどこにもない。常につきまとう…
「嫌あああ!!」 「手を離すんじゃない!」 飛び降りようとするシャンティをレオンが抱え込んで引き戻す。彼女の頬にはいつしか流れ弾が掠めた傷があったが、滲んだ血すらも零れ落ちる涙に流されてしまっていた。 「お願い、どうか…
早朝に起こされた医者は寝ぼけ眼を擦っていたものの、ゴードンを見るや否やすぐ適切な対応を取ってくれた。街が活動を開始する頃には一通りの処置も終わり、他の4人の怪我にもそれぞれ薬や湿布が貼られている。 「……命は助かったん…