楽園の扉【完】

楽園の扉 第16話

「……そうか。そうだね、あんたならそう言うと思った。おかしなことを聞いて悪かったよ」  イザベラは短い沈黙の後でほっとしたようにそう語り、ルーチェの肩口をぽんと叩くと明るい声でこう続ける。 「じゃあ明日からもよろしくね。…

Read More »

楽園の扉 第17話

 ルーチェを客の目に触れさせないのはイザベラの一貫した方針だった。彼女の補佐として受付をしながら顔を売ることもできたはずだが、まだ“商品”ではない見習いにはいつも裏方の仕事を任せていたのだ。それが一体なぜなのか不思議に思…

Read More »

楽園の扉 第18話

「え……?」  すぐ傍に立っている黒ずくめの男は間違いなくノア・ロメロ本人で、思いがけず現れた殺し屋にルーチェは出鼻を挫かれる。接客の手順も何もかも忘れて立ち尽くす彼女の目の前で、ポンチョを脱いだ黒髪の男は女の頤に指をか…

Read More »

楽園の扉 第19話(R-18)

「あぁ……あ、っ」  脆く儚い囁きのような喘ぎが熱い吐息に混じる。ノアは既に長い時間をかけながらルーチェの肌を弄まさぐっていて、身体中を愛撫されている娘は零れる声を抑えられない。彼女も時折その手を伸ばして相手に触れてはみ…

Read More »

楽園の扉 第20話

「……また来てくれますか?」  身支度を終え、黒い帽子を手にしたノアへと女はそう尋ねる。それは娼婦ならば誰もが口にするだろう決まり文句の1つではあるが、彼女の胸にそれ以上の想いがあったことは言うまでもない。 「わからん。…

Read More »
1 2 3 4 5 6