荒野の恋人たち【完】

荒野の恋人たち 第6話

「――ああ、始まったか?」  鳴り響いた銃声と馬の嘶きに灰色の目を細め、馬上の男は楽し気な薄笑いさえ浮かべ独りごちる。その後ろでは手下と思われる柄の悪い男が2人、馬を降りることもなく下卑た表情で娘を眺めていた。 「ずいぶ…

Read More »

荒野の恋人たち 第7話

「手を……離して、ください……!」 「聞きたい返事は1つだ。俺はそう気が長くもねえからな」  精一杯抵抗しても、男の腕が緩むことはない。今や娘の両目からは抑えきれない涙があふれ出し、アラステアは空いたもう片方の手でぞんざ…

Read More »

荒野の恋人たち 第8話

「なら俺の名を聞いて死にな。俺はアラステア・バロウズだ!」  その時、一体何発の銃弾が空気を切り裂いただろう。2人の間を行き交った弾は1発ずつではなかったが、それを正確に知ることのできた者はただ1人しかいない。  一方は…

Read More »

荒野の恋人たち 第9話

「クライヴ、あなたも町のお医者様のところで診てもらわないと」  ゴードンの姿を見るやテッドは荒縄を手に走っていき、シャンティは我に返るとクライヴの傷の手当てに取りかかる。しかし包帯を巻くその手つきは動揺のせいか覚束ず、無…

Read More »

荒野の恋人たち 第10話

 南部に位置するフォートヴィル、それは小さな村の少年すら知っている夢の街の名だ。そこの寂れた集落で金の鉱脈が偶然見つかった、そんな噂が出始めたのは今から半年ほど前になる。真偽も知れぬ風説だが、それ以来一攫千金を夢見て故郷…

Read More »
1 2 3 4 5 16