歓喜の歌を奏でて 第1話
眩しい陽射しの下でもその場所は涼しい風が吹き抜ける。緑の蔓が絡まり合った果実棚の下を歩きながら、トゥーラ・クオーレは手にした籠に熟した実を捥ぎ入れていった。紫色の果実からは濃厚な甘い香りが漂い、舌先でとろけそうな果汁を…
眩しい陽射しの下でもその場所は涼しい風が吹き抜ける。緑の蔓が絡まり合った果実棚の下を歩きながら、トゥーラ・クオーレは手にした籠に熟した実を捥ぎ入れていった。紫色の果実からは濃厚な甘い香りが漂い、舌先でとろけそうな果汁を…
マノエルはこの地に住まう同種の鳥たちの中の王だった。王の家系に受け継がれている魔法のような力を用い、必要とあらば姿を変えて人里に降りることさえある。だが餌として最も美味なこの果物を多く求めるために、金銭を支払っているの…
――それから3日が過ぎたその日、トゥーラは町で果物を売ると家までの道を歩いていた。起伏の多い場所を越えればそこからは平坦な森となり、丈の高い草をかき分けながら進む悪路もじきに終わる。木陰では果実の蔓が大樹の幹を飾るよう…
人間同士が愛し合う行為というものの知識はあった。だが実際に人の姿を借りて行う交わりは鮮烈で、言葉で表すことなどできないほどにたまらなく気持ちいい。ぬるぬると滑るトゥーラの中に己が身を深く沈めながら、マノエルはあふれるほ…
「…………」 強すぎる快感に意識を手離したトゥーラを見やりながら、マノエルは自身の息も乱れたままに彼女の頬を撫でる。しっとりと濡れた柔肌に触れる掌から伝わる鼓動。それが語りかけてくるかのように彼ははっきり感じている………