荒野の恋人たち 第16話
傷ついた心にその言葉は何と優しく響くのだろう。涙を堪えているのに彼を見つめ返さずにはいられない。真心と偽りの親切心を見抜ける者はここにいる。シャンティが今は亡き両親から継いだ思いを貫こうと、心を込めて旅人と接したことは…
傷ついた心にその言葉は何と優しく響くのだろう。涙を堪えているのに彼を見つめ返さずにはいられない。真心と偽りの親切心を見抜ける者はここにいる。シャンティが今は亡き両親から継いだ思いを貫こうと、心を込めて旅人と接したことは…
苦い記憶の残る町を去ってからは緑の丘が続き、メイフィールド牧場一行は順調に南へと進んだ。その後は荒れた土地と足場のぬかるんだ沼地を交互に越え、旅立ちからは早くも3週間近い時間が過ぎている。先を急ぐ旅とは言えど、全力疾走…
“あんたは必ず俺が護ってやる”――レオンの口からその言葉を聞いたあの草原の夜以来、シャンティはまた以前のように明るく振る舞えるようになった。だからと言って再び災難に飛び込むつもりはないにせよ、少なくとも全てに怯えながら…
荒野と言えども乾いた草地ばかりが続くとも限らない。小石混じりの土漠もあれば丈の高い葦が生える湿地、赤土が風に吹かれているような場所もあれば林もある。 シャンティたちが南のフォートヴィルへ下る旅を続ける中、西側の遥か遠…
太陽の下で額に汗して牛を追っている日々ならば、たまにはこんな風に涼しげな渓谷を行くのも悪くない。とても全力で駆け抜けることなどできはしない道だったが、弾ける水飛沫を浴びられるのは人馬共に楽しかった。 だが水場は安らぐ…