誰より君を 第6話
「アンヌ、最後に踊った方が誰かはあなたももちろん知っているわね?」 「……ルウェリン伯爵です、叔母さま」 「その通りです。なら私が何を言いたいかもきっとわかっていると思うの」 「はい、叔母さま」 帰りの馬車の中で交わさ…
「アンヌ、最後に踊った方が誰かはあなたももちろん知っているわね?」 「……ルウェリン伯爵です、叔母さま」 「その通りです。なら私が何を言いたいかもきっとわかっていると思うの」 「はい、叔母さま」 帰りの馬車の中で交わさ…
「ウィル、どうした? 元気がないぞ。恋煩いのしすぎで夜も眠れないんじゃないだろうな、あのルウェリン伯爵ともあろう者が」 よく晴れた秋の午後、ボーモント子爵邸にて。友人夫妻の招きで一緒に茶を飲みながら、ウィリアムはジェレ…
「お久しぶりです、ブライトン夫人。そして初めまして、カッシング子爵令嬢。エミリア・ハイラントです。こちらは夫のジェレミー」 「リッジウェイ伯爵夫人、カッシング子爵令嬢、我が家へようこそ。来週の半ばには我々も領地へ戻るもの…
こんなに間近でアンヌの姿を見ることができたのは2ヶ月ぶりだ。遠くからちらりと眺めた時にはわからなかったが、バルトーズ家で踊った時と比べると心なしか線が細くなったような気がする。それも呆れるほどの侮辱のせいかと思うと再び…
それが夢ではなかったことは、目を開けてもまだ微笑みを向けてくれるウィリアム自身が証明してくれた。繋いだ指先は緊張しているのがアンヌだけではないことも教えてくれる。信じられないが、信じたい……それでもすぐに実感するのは難…