楽園の扉【完】

楽園の扉 第26話

「こんな部屋まであるなんて、まるで本当の娼婦みたいだな」  女が扉を閉めて振り返ると、男はぞっとするとでも言わんばかりに辺りを見回してそう言った。 「まさかそうだなんて言わないだろうね? ルーチェ」  彼が娼妓をどう見て…

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楽園の扉 第27話

 それは想いを伝える状況として最善のものだとは言い難い。しかし今この時も姿なくして勇気をくれる男の存在を、ルーチェは絶対に屈しないために何よりも強く求めていた。彼女が愛した相手は後にも先にもたった1人だけだ。彼に寄せる想…

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楽園の扉 第28話

「ノア!!」  火花を散らせた銃口、そこから放たれた弾が真っ直ぐに貫いたのは殺し屋の右腕だ。彼は矢面に立った女の元へ信じられない速さで踏み込むと、その身を突き飛ばす代償として利き腕を凶弾に差し出した。ルーチェが離れた瞬間…

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楽園の扉 第29話(R-18)

 高くつく分余計なことは聞かない医者にかかることもあれど、妓楼を出た後ノアはどこにも立ち寄らずにただ歩き続ける。ルーチェが何度尋ねてみたところで彼の頭は横に振られ、2人は灯りもまばらな裏通りを選び男の部屋へと向かった。夜…

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楽園の扉 最終話

 その朝、並んで眠る2人のうち先に目を覚ましたのは男だった。最も昼間でさえも薄暗い部屋で明け方近くに目覚めたのは、彼が右腕に負っている銃創がもたらす疼痛故だ。ちらりと横を見やれば昨晩もたっぷりと愛し合った女が穏やかな眠り…

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